読書尚友

A reading room in Nagoya

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

128 風姿花伝

能楽の宗家に伝わる秘伝。明治後期旧藩華族から流出。明治42年に吉田東伍博士が能楽会から出版。原本は関東大震災で全巻消失。世阿弥の書き残した能楽の家の生き残り戦略、技術論、人財育成論。今では芸術論として読まれているが、能楽の素人むけの書物では…

129 正法眼蔵

岩波書店 日本古典文學大系 西尾実校注で読んだ「正法眼蔵」。 仏典は難解広漠。私にとっては西尾実の編集、注釈は実に有難い。有難さは具体的には、「正法眼蔵」は中世仏教文学の源流である、との認識からの編集であること。注釈、年譜がほどほどで親切。正…

130 徒然草

私にとっての「徒然草」の良さは、わずかな時間、ランダムによんでも、これがベストという話を聞けること。 第13段 ひとりともしびのもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友するぞ、こよなう慰むわざなる。文は文選のあはれなる巻々・・・ 列挙は「枕草子」の…

131 維摩経

ゆいまきょう 1999年7月「維摩経」サンスクリット原本写本が発見された。2011年植木雅俊訳岩波書店。 聖徳太子が日本人の信仰の方向性として、「維摩経」「Srimala経」(経名をこのパソコンでは変換できず)「法華経」を選択。内容としては、仏教信仰の国と…

132 方丈記

鴨長明「方丈記」 何かの要素に反発して手にとらず、老後の今となり はじめて全編を読みました。「徒然草」程度の分量かと思っていましたが、あっけなく読了。シンプルな生き方の提示。自分の事だけ述べていて潔し。表現上手、平易で納得できる内容。 仏教思…

133 源氏物語

夕顔 咲く花に移るてふ名は包めども折るらで過ぎ憂きけさの槿 朝霧の晴間も待たぬけしきにて花に心をとめぬとぞ見る 17歳の年の秋、光源氏は六条の御息所を訪ねて一夜を過ごす。御息所は24歳。翌朝眠そうな源氏は嘆きつつ帰りかかる。植え込みには色とり…

134 枕草子

「枕草子」清少納言 964~1025 中の関白一門が没落してゆく日々に、くやしいこと、悲しいことは多くあったであろうに、ありし日々を楽しげに、美しく描きあげている。 清少納言が出仕した藤原定子 977-1000 一条天皇の中宮/皇后。 藤原道隆 953-995 定子の父…

135 小町集 小野小町114首

色見えで移ろふものは世の中の人の心の花にぞありける 男と女の想う心の花は見えないまま移ろう。 人に逢はむつきのなき夜は思ひおきて胸走り火に心焼けを 逢いたい人に逢えぬ夜の情念。 あはれてふ言こそうたて世の中を思ひはなれぬほだしなりけれ あわれ …

136 古今和歌集 

古今集というと、正岡子規の批判が有名である。 正岡子規は「古今集」が読めていない。 古今集はそのシステム、総体的作品世界を読み解いてこそ理解できる歌集である。和歌は季節ごとに配列されており、同じ季節の中であっても前の和歌と後の和歌の対比が絶…

137 平家物語 山下宏明校注は普通の人に原文の平家物語を開放

日本画を始めた。洋画のデッサン集を見るに、馬の勢いのある様々な姿。日本の軍記の絵巻なぞ馬は類型的で単調。洋画の手法で軍記を描こう。平家物語、宇治橋の合戦、瀬と馬と武者の絵を描きたいとして、そこだけ読むため「平家物語」を入手。たまたま山下宏…

138 聖書 伝道者の書

ユダヤ教 キリスト教 イスラム教の「聖書」旧約の「伝道者の書」 「コヘレトの言葉」「伝道の書」。 中学生時代に「コーラン」を読み終わった。「聖書」を読んだのは高校時代。 ず~と読んできて、旧約聖書の「伝道者の書」第7節16「義に過ぎて滅びるなか…