読書尚友

A reading room in Nagoya

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

158 渡辺美代子「ヒロシマ・平和のリボン」

The Peace Ribbon Association is a group of seven classmates from a girls' school in the hypocenter of Hiroshima (abolished school). You can see the testimony of the atomic bombing. It was a 67-page booklet and was sold at the Hiroshima Pea…

157 小池昌代 編著「通勤電車でよむ詩集」

NHK出版 2009年 小池昌代さんは 石原吉郎の詩を「朝の通勤電車で読もう」という。詩集の二番目に石原の詩を掲げる。「わたしはこの詩に、無限の優しさを読む。そして戦いと流血の跡を」(154の石原吉郎の随筆参照) ワタシはシベリア抑留の過酷な日の影の濃い…

156 岡本文弥「ひそひそばなし」

松栄堂 昭和38年 玉川スミさんの都々逸につづき 岡本文弥さん 同感同感。 新派の舞台 今もやってみえるのでしょうか。 岡本文弥の随筆は同じ書店からの「芸渡世」が先。読んでおきたい。玉川スミのCDもネット上で購入可能。他、浪花千恵子「水のように」 こ…

155 玉川スミ「ドドイツ万華鏡」

くまざさ出版社 1999年 爪弾きに声を落とした小唄の渋さ キャバレーじゃ聞けない江戸の味 何度逢うてもきらいはきらい 一度逢うても好きは好き 惚れて通った昔が恋し 今じゃあきれて戻る道 ちょこで受けてるお座敷よりも 二人で呑みたい茶わん酒 初めて見染…

154 鶴見俊輔 編 「日本の名随筆 別巻97 昭和㈠ 」1999年 作品社

鶴見俊輔 反戦・平和運動の旗手 151ページで最近のエッセイ集に苦言というより 不適応を表明。 それでは どんなエッセイ集が良いのか、と自問自答。 熟知して表現 虚心坦懐 さっぱりしているのがいい。 熟知せず、山っ気がちらつくのはいただけない。15…

153  遠藤周作「現代の快人物 ー狐狸庵閑話ー」

角川文庫 昭和47年 ラシーヌ再読しつつ自己韜晦の日々 このころの遠藤周作は読者をゲラゲラわらわせようとする戯作執筆。それほどオモシロイとはいえない。一方、内面においては 日本人とキリスト教 切支丹信徒の息の長い探究を継続 社会的弱者で 殉教したフ…

152  「考證 永井荷風」秋庭太郎 岩波書店 昭和41年

谷崎潤一郎の奥さん 松子さんは 世間でとりざたされた人であり敬遠の対象であったが その文章に接してみれば いい人、優れた人である。 今は皇室の人がとりざたされ傷ついているが以前は文士その周辺がマスコミの餌食 という構図なのであろうか。 谷崎の交友…

151  日本文藝家協会編「ベスト・エッセイ」2019

光村図書出版 2019年 久しぶりにこのエッセイ集を手にした。 以前 20年以上前 は 大家、学究、名人などの ていねいな 上質の木綿にさわるような感触の さりげなくも 深く豊かな世界に接することができたような記憶 である。 今回は 都心の100円均一の広く…

150  谷崎松子「奇松庵の夢」

中央公論社 昭和42年 題名:人偏に奇 谷崎潤一郎の左手の布は緋毛氈 紅枝垂れ桜を下から見上げるためであろうか・・ 谷崎潤一郎と佐藤春夫の女をめぐる確執 この文の時点の「谷崎夫婦」の妻は千代松子夫人の 見方 さばき方 なかなか。 谷崎潤一郎の絶筆「に…

149  山口つばさ「ブルーピリオド」

講談社 2017年 「青い世界」とは「美の世界」 入口は高校の美術部室のあたりに・・・ 美の世界の入口 おばあちゃん先生 椅子も机も 窓枠も、服装も私のころより格段に良くなっている。鉛筆も紙も。私のころ1960年代三河岡崎の高校では、平屋の木造校舎、木の…

148  吉行淳之介「廃墟の眺め」

1967年 山本容朗 編 吉行淳之介「私の東京物語」所収 毎日のウクライナのニュース。廃墟となった町。やがては復興してゆくのであろう。 その心象風景は 吉行のこの短編小説の如きものとなるのであろうか。戦争で死んでいった知人友人を思い出し、生きている…

147  直木三十五 文壇諸家価値調査表

「文芸春秋」大正13年11月号 直木賞の直木三十三(のち三十五)作成 高い評価の芥川龍之介 未来97点 ノーベル文学賞の川端 未来72点 世評は世評。大正13年の雑誌読者は頷いたのでしょう。 好きな女 吉原、淫売 というのも何ですが 素人 向かいの娘 というの…

146  山口洋子「あの人をどこまで知ってますか」

青春出版社 1993年 イラスト / 山口はるみ 山口洋子 銀座クラブ「姫」のママ 作詞家 著作家。 銀座のホステスは男のどこを観察しているのでしょうか? 笑顔のいい男。目と歯がキレイなのがいいそうです。 御本人は若いころ、警察から追われている暴力団員を…

145  テリー伊藤のお笑いニッポン大改造計画

光文社 2000年 第1章は総論 南の島感覚 第2章は国会議員年俸600万円案 愛と笑い 洞察。国際感覚あり。 気になるのは テリー伊藤氏の言動・人品骨柄。 セクシーな議論は新鮮・・・ 永井荷風は日記に 風俗業関係者の政治参加に苦言。 ウクライナ大統領ゼレン…

144  阿川弘之・北杜夫編「斎藤茂吉随筆集」

斎藤茂吉とゲーテ像 岩波文庫 1986年 "friegende oesterreiche Kronen!" 「吹けば飛ぶようなオーストリアクローネ」 茂吉がウイーンにいた大正11年は1922年。ドイツの第一次大戦後のインフレーションは有名。オーストリアは大帝国の解体をともなって凄まじ…

143  ジュール・ヴェルヌ「海底二万里」

朝比奈美知子訳 岩波文庫 2007年 最初に「海底二万里」を読んだのは60年以上前、小学校時代で、講談社 少年少女世界文学全集の一冊としてであった。ワクワクワクワクの読書体験。子供用でない訳文も、このように興味深い。 今では 海底旅行も宇宙探検も現実…

142 サガン「悲しみよ こんにちは」

Francouise Sagan 「悲しみよ こんにちは」朝吹登水子訳 新潮文庫 昭和30年 太陽のきらめく南仏の海岸が舞台ではあるが 「17歳の私 セシル」の世界は・・ 清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき 端役の人もワンサ 映画の大部屋女優 その子は…

141 チェーホフ「犬を連れた奥さん」

犬を連れた奥さんはヤルタの海岸通りを歩いていた。地図南西・左下 右上・北東にマリウポリ 今日の激戦地。 チェーホフ「犬を連れた奥さん」神西清訳 岩波文庫 冒頭 ЧЕХОВ 文人翻訳家 じんざい きよし麗筆訳 人生ですばらしいのは のびのびと解放された感じ…