読書尚友

A reading room in Nagoya

137 平家物語 山下宏明校注は普通の人に原文の平家物語を開放

日本画を始めた。洋画のデッサン集を見るに、馬の勢いのある様々な姿。日本の軍記の絵巻なぞ馬は類型的で単調。洋画の手法で軍記を描こう。平家物語宇治橋の合戦、瀬と馬と武者の絵を描きたいとして、そこだけ読むため「平家物語」を入手。たまたま山下宏明校注岩波文庫。良書であった。原文で読める。本文ひらがな、的確な注釈。

巻第十二 六代被斬 ろくだいきられ 

さる程に六代御前は、やうやう十四五にもなり給へば、みめかたち、いよいようつくしく、あたりもてりかがやくばかりなり。母うへ是を御覧じて、「あはれ世の世にてあらましかば、当時は近衛司にてあらんずるものを」と、のたまひけるこそあまりの事なれ。

(注)平家が権勢をふるっている世であれば。

(注)あまりに度のすぎた希望である。やっと命が助かったのに高望み。

読めるでしょう!

終末の近い巻12。平家の末裔は生き延びることはできるのか? 高僧が頼朝に因果を含める。「平家の配慮であなたは生かされた。」頼朝「私一代は生かしておこう。」地方では平氏の残党を火種に反乱。京都に平家の作った二重の堀の邸宅あり。昼間はひっそりしているが、夜は歌舞管弦の音色。源氏は騎馬武者数十騎派遣するも弓の守り。大勢駆けつけて堀も埋める。源氏側につく大勢になるほどねーを感じる。

平家物語」は始めこそ格調高い仏教哲学掲げるが 全編 現代日本に通底するヤジウマ魂横溢。宇治川の合戦であっても 武士より血まみれの僧兵の方が迫力がある。奮戦で致命傷、宇治平等院までひきあげて来世を念じて死んで行く姿など鮮明に描かれ、武士の先陣争いより迫力が何倍かあり 画題放棄。