読書尚友

A reading room in Nagoya

93 トルストイ「復活」

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レオニード・オシーボウィッチの挿絵

トルストイ「復活」原卓也訳 中央公論社 昭和38年

旅と読書 読書60年、一番印象的な旅立ちは トルストイ「復活」のカチューシャ シベリアへの旅立ち。50年前の読書、「貴族のネフリュードフは結婚を申しこむのだが、カチューシャは革命家シモンソンとともに旅立つ。」という記憶。

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チェーホフトルストイ

旅に関する読書録、最後はチェーホフの「桜の園」のラネーフスカヤ夫人のパリへの旅立ちにしようか と迷いましたが、チェーホフの本見当たらず・・。

「復活」少しづつ思い出してみましょう。

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きっかけ

軍隊生活のあいまに伯母さんの家によった青年貴族ネフリュードフは小間使いのカチューシャに惹かれる。それはそれは美しい少女であった。 上掲のなりゆき。 翌朝

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支払い

100ルーブル渡して立ち去った。

数年後、ネフリュードフは陪審員として裁判に列席。売春婦の殺人事件。被告がひきたてられる。「カチューシャ・マースローワ」あの人だ。ネフリュードフの子を身ごもって伯母の家を追放され、零落の身に。無罪なのだが手続きのミスで流罪に。

ネフリュードフはカチューシャの助命嘆願に奔走。結婚して助けようと思いつめる。

獄中でシモンソンという政治犯がカチューシャに恋をする。シモンソンはシベリア送りで4年の刑が確定している。カチューシャを救おうとする有力者ネフリュードフの存在を知っており、シモンソンはカチューシャとの結婚についてネフリュードフと相談。

      下掲

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カチューシャと結婚したいのです。

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どーぞ 彼女が望むのであれば・・・ ・・・

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ネフリュードフの嘆願は成功 カチューシャは自由に。そして選択

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ネフリュードフ、私はあなたを愛しています。 そして別れの時が。

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ペテルブルグ ペトロパブロフスク要塞監獄

馬車でシベリアに旅立つカチューシャとシモンソン。雪の中、見送るネフリュードフ。

 

前半でカチューシャが収監される要塞監獄。私の初めての海外旅行は冬のソ連で、マイナス30度 ネバ川は凍ておりました。観光で内部が見学でき、ゴーゴリの独房に入室。暖かい部屋でした。暖房はどこもしっかりしていました。モルダビアのキシニョフくらいまで南下(樺太ぐらいの緯度)すると隙間風の部屋もあり。皮装の立派なトルストイ全集かドストエフスキー全集を手に入れようと思ってましたが、本屋にはペーパーバックの共産党系の宣伝書籍があふれ売れ残ってました。19世紀文学の書は発見できず。当時のソ連のお店は、売り切れでガラガラの棚が日本では報道されていましたが、売れ残りの山もたくさんありました。本もサンダルも これでは買いたくないモノがいっぱい。売り場は閑静。行列ばっかり というのは反共宣伝です。以上蛇足。トルストイの文を多めに引用したので楽しんでください。