読書尚友

A reading room in Nagoya

88 イソップ寓話集

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中務哲郎訳 岩波文庫

人生 何回か サワーグレープスの感慨あり。手の届かない葡萄。すっぱいからいらない、と言い捨てて立ち去る。大学時代銭湯の一番風呂で一緒になっていたH君 温泉友達 が「外交官試験をめざして一緒に勉強しよう」と提案してきた。しばらくしてワタシもその気になって勉強しはじめた。一週間ぐらいでH君「外交官たって、イギリス、フランスの勤務とはなるまい。田舎の小国で国会議員とか偉そうな連中の視察にぺっぺこくっついて歩くのがせいぜいか・・安月給で煩瑣な仕事に超多忙・・」つまらない人生になる。ヤメとこ。となって勉強会終了。こういうのをサワーグレープスって言うのかな と思っておりました。実際の文章(上掲)は熟柿待ち の言い訳か。野の葡萄と思っておりましたが(私は そもそも 富かつ貴きの果実は やはり本当に酸っぱいと思っております。遠目に華麗なシャンデリアも近づいてみるとホコリだらけ。そう思うのがサワーグレープスか?)、支柱から垂れ下がる上質なブドウという記述。

H君 中堅邦銀のロンドン支店勤務中 パリバ銀行から引き抜かれパリバへ。高給とりであったが、ある日上役から「アナタを雇ッテイルオカネで若い人が3人雇エマス」といわれ解雇。失意の帰国途上 スイスのホテルでワインを飲みながら奥様が「楽しい人生 アリガト」と言ってくれたそうで救われた気分だったと申しておりました。H君は私より葡萄に近づいたようです。

 

出口治明は「最後の講義」で「あきらめることは、現状認識であり、モチベーションである」と言っている。H君はその後 外交官試験をあきらめ、英語の勉強に邁進。「みんな第二外国語とかやってるけど、英語が実務で使えなければダメ」と言って高価な箱根のカンズメ研修に参加。4年には渡米して車で大陸横断。モチベーションにあふれて、海外で働ける人になって行った。華麗なるシャンデリアに近づいていかれたとの印象。