読書尚友

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83 マルクス「資本論」

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資本論向坂逸郎訳 第1巻第7篇第24章

カール・マルクス資本論 ー経済学批判ー」

我々の住む社会はどんな社会であるかを論じた著作。「我々の社会は資本によって支配されている」ということで資本論と名づけられている。

冒頭は商品論。今の社会ではあらゆるものが商品化されている。人間の労働も商品として売買される。人間論としての商品論。

資本論は未完成の著作で、構想の五分の一も完成していない。マルクスが刊行できたのは第1巻のみである。文句なしの名著。第1巻は、この資本主義社会が中世の封建制社会からどのように生誕したのかの記述。資本家階級、労働者たちはどのように発生したのか。

資本論は難解な書物であるとされている。ヘーゲル哲学を学び、それをひっくりかえし、資本論の第1章第1行から読み始める、というのが最悪の難コース。あっさり理解するには後半第7篇から読み始めるといい。前半が理論、後半が歴史現象の叙述。リクツはいいから、マルクスの凝視した現象をまず知りましょう。 

上掲文の部分だけでもイギリスの歴史/現実が氷解。イギリスはなぜカトリックを捨てたのか? マルクスによれば カトリック教会所有の膨大な農地を国家が取得できたから。追い出された零細農民は浮浪者として苦しみ やがて農村にできた工場の労働者に。

 

資本論」は社会の経済的基盤まで視野にいれての観想 / テオーリア。

 

リカード「経済学および課税の原理」を基底としており、経済理論の書としての内容が知りたい人はリカードを読めばいいでしょう。薄くコンパクト。「資本論」は書名の副題にあるように、経済学の書というより経済学批判の書。