信頼できる著者か?
まず大丈夫のようである。金洛年「植民地期朝鮮の国民経済計算1910-1945」東京大学出版会 読んでおきたい書物。
日本の植民地支配、土地調査事業だけでも罪深い。誰の発案か、など思っておりましたが、
金栄薫氏の出発点も土地調査事業。上掲。土地調査事業というのは「植民地化以後、土地の所有者を申し出させて、申し出れば重税で手放さざるを得なくし、申し出なければ国有地。日本の大企業が安価で払い受け」と認識。金栄薫氏の調査では「日本人が収奪した土地はほとんどない」 ブライス研究、「京城大教員時代、丘の上に日本風の家をつくり目立っていた。」ブライスさん、おかかえ外人の高給で朝鮮の人から収奪した土地とも知らず家を建てて喜んでみえた と認識。そうでもなかったようである。
この本はセンセーショナルな政治の本という印象で手をださなかったが、手にとると、私にとっては経済史。
日朝の市場統合で輸出入急増。30年で、日本の倍のスピードで工業化社会へと変貌。農村人口急減。
所得も三倍増。植民地経営でこんな経済的成功は類がない。
イメージと経済福利が乖離の類例。イスラエルも経済統計的には大成功。旧約聖書のソロモン王の時代でもあの地域は人口400万人。それが今は1000万人。そのうちアラブ系も300万人。矢内原忠雄が戦前海外留学時に立ち寄ったイギリス領時代のイスラエル地区は人口60万人程度の荒れ地。追い出されたアラブの人々も、流入のユダヤの人々も大増加。活字表象としては戦乱流血ではあるが・・。