このころの遠藤周作は読者をゲラゲラわらわせようとする戯作執筆。それほどオモシロイとはいえない。一方、内面においては 日本人とキリスト教 切支丹信徒の息の長い探究を継続 社会的弱者で 殉教したフランス人、日本人に ゆっくり眺め思いをめぐらせている。
前編の”現代の快人物”はキャバレー界の風雲児・福富太郎のインタビューなど。
遠藤の作品では「イエスの生涯」が秀逸。日本人的に納得がゆく。ユダは対ローマ独立運動の民族主義者で立ち上がらないイエスに失望 という解釈など 踏み込んでいる。
キリスト教のとらえ方は日本人にとっての大きな課題であるが、遠藤周作が一番親しみやすい。曽野綾子のように山の手ハイセンスなキリスト教には照れるし、矢内原忠雄につき従うほどエリートじゃないし。