読書尚友

A reading room in Nagoya

154 鶴見俊輔 編 「日本の名随筆 別巻97 昭和㈠ 」1999年 作品社

鶴見俊輔 反戦平和運動の旗手

151ページで最近のエッセイ集に苦言というより 不適応を表明。

それでは どんなエッセイ集が良いのか、と自問自答。

熟知して表現 虚心坦懐 さっぱりしているのがいい。

熟知せず、山っ気がちらつくのはいただけない。151の類は 満州国の新しい農村への期待 とか 中国共産党の文化革命賛美 原子力発電誘致で福島は夢の街 と同質の認識の軽さ危うさを感じる。

鶴見編集の「昭和㈠」には熟知がある。

所収 松本健一「少女の白旗」 沖縄戦で白旗を掲げて投降する少女の話 演劇になったり感動する人多しではあるが ・・・ そんな発想ができる少女はいたのか?7歳で。 米軍の動画映像には うしろに日本兵の姿 三角の白旗 三角? 「りゅう子の白い旗」という書物には 「壕にたてこもった日本軍隊長が雑嚢から白い布を取り出し少女に持たせ 本当に米軍は白旗で撃ってこないか試した」 とある。松本の文では その少女は比嘉富子さんとある。松本の沖縄での大学講義後「わたしです」と言って現れたのであるから間違いない。同じ壕にいた両手足のないおじいさんが投降を教え、おばあさんがじいさんの下着のふんどしの布をさいて作ってくれた白旗だという。

沖縄戦の日本軍は条件の良い壕(ガマ)を占拠し民間人を入れなかったと聞く。米軍の収容キャンプを襲い 投降した日本兵を虐殺。わたしのわずかな知見と「りゅう子の白い旗」は符合しない。松本随筆に熟知あり。 

ワタシからの伝聞ではアマイので 戦後 ソ連に抑留されシベリアの強制収容所で働かされた人の言葉を全文掲げてみよう。

石原吉郎 ある〈共生〉の経験から

石原吉郎 随筆集は「日常への強制」 詩人「サンチョ・パンサの帰郷」でH氏賞受賞。