
「感傷旅行」の少し前、1960年代の作品。
生活感と幻想性の交錯。
言葉の軽みが楽しく、ユーモラスな文体だが、夢煙突のあたりから流れが急変、ハラハラしてしまう。
上掲の冒頭部分「結婚式の時 涙はらはら」が 本当にそうなる 読者を楽しませてくれるサービスがうれしい。
女性の心に潜む夢 ふむふむ。
島本理生の編集が秀逸。「編集」されたものが良い。田辺作品は好きであるが、忙しく書き散らしたのを読むとげんなりする。編集に感謝。
山口路子「マリリンモンローの言葉」だいわ文庫 2017

今日は北京で抗日戦争勝利の祝賀行事 ロシア、北朝鮮の首脳も参列。アメリカと中国 どちらが今後の世界の中心となっていくのであろうか。アメリカの素敵なところは、ドナルドダックとマリリン・モンロー。
父親を知らない子として生まれ、母親からも離れて育ち、愛情に飢えた年月を過ごしたという。誰かから関心を持たれることを切望。棒のように痩せた子は11歳以降グラマラスな身体に。男性の視線が集まるようになる。
その後 さまざまな研究と努力
本来 茶色の髪 明るいブロンドへ やがてプラチナブロンド 白に近いスモーキーに輝く色
モンロー・ウォーク ハイヒールの踵を片方だけ1センチ弱短くしてヒップをクリクリさせる
身体解剖図 筋肉組織図 ルネサンスの解剖学者ヴェルサリウスの書物を研究 どんな形がより魅力的か、他のスターの写真と自分の写真を比較 身体を鍛錬
ゴージャスなドレス 下着をつけず 底なしの柔らかさ
からだにぴったり 胸元の大きく開いたドレス
完璧な ぬれてぽってりの唇 カーブとシェード そのために口紅6種類
心持ち 完璧志向 劣等感の塊/ ひたすら努力で魅力の塊 素直率直 感受性
本格派女優めざし研修
良い状態で仕事 / 遅刻の常習犯
リアリスト というか 男と女への理解の異次元の人
著者山口路子さんは言葉を追うが、それは入り口 その先は難しいのではなく シャネル5番のくつろぎで 多くの人が共感。
明日9月3日には北京で抗日戦争勝利の祭典があるという。習近平、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩労働党書記が参列。
今夜は石原莞爾の「最終戦争論・戦争史大観」中公文庫 を読んでみた。
「世界最終戦争論」は昭和15年(1940年)9月出版。「戦争史大観」は昭和16年(1941年)2月出版。太平洋戦争の開戦は1941年12月であるから、開戦以前の言辞である。

日本の軍部は自粛しなければ国民から怨まれる存在となると明言。覇道はを戒め、道義による正しい道を歩め。

成層圏を飛ぶ新兵器を予言。アメリカのB29爆撃機の出現を戦争の始まる前に。

1944年の空襲で、木造家屋が密集した都市は大惨事となったが、高射砲の準備はほとんどなかった。石原は日米開戦は20年後、1960年以降、アメリカ本土が爆撃できる新兵器を準備、都市の防空も万全にしてから、と言っている。

東京、広島は廃墟になる、と開戦前に言っている。
興味深い書物である。
コンラッド「秘密をともにする者」
ジョセフ・コンラッド The Secret Sharerer, 1910
小池 滋訳 昭和41年
航海中の若い船長と、船に密かに潜り込んできた脱走水平レガットとの出会いの物語。
若い船長は乗組員からまだ信頼を得ておらず孤立している。レガット(殺人を犯して逃亡中)の存在を秘密に守ることで、初めて理解しあえる相手を獲得、精神を支えられる。ただし、法的道徳的に正しくない選択であり葛藤あり。「法に従うべきか」「人間的共感を優先するか」
彼の存在から、船長は自分自身の強さ・弱さ、勇気を自覚する。最後にレガットを逃がす決断をし、自立した指揮官となる瞬間をむかえる。
他律的権威から自立、自分の判断に基づく指導者への成長の物語。
注目したのは「分身doubleとしての他者との関係」
分身(Double)モチーフ 影の自己
主人公の内面を映し出す「分身的存在」との出会いが成長の契機に。
ハムレットを導く父の亡霊
ジャン・ヴァルジャンを導くミリエル司教
孔子にとっての周公 「老いたるかな 吾 夢に周公を見ず」
題名「秘密をともにする者」はそのことを宣言している。
La Chartreuse de Parme, 1839
むかしは景色のいいところへ行き
楽しく書いたものだった
アリオトス「サティーレ」第四歌
アリオトスの「風刺詩(Satire)」は16世紀初頭にトスカーナ語で書かれ、宮廷での経験、人間関係、悩みなど率直に語っている。形式としては韻文の手紙7通。第4歌は兄ジローラモ宛、相続の問題について述べ、世俗的欲望より精神的な充実を重視、という内容。静かな生活への願望、権力や野心から距離をおきたい との考え。
「パルムの僧院」のテーマは三層からなり、
1)理想を求める青年の夢と現実の悲劇的乖離
2)愛と権力の情熱的な葛藤
3)俗世からの逃避と救済の不可能性
冒頭のエピグラフは 3)を指し示しているのでしょう。
第1章 1796年のミラノ
冒頭の一節 「専制主義のおかげで、人民は深い夜に沈んでいた。銅像をひっくり返した。するとたちまち彼らは光を浴びるのを感じた。」
ナポレオンのイタリア解放の世界観が伝わる名文であるが、日本人は深い深い夜に沈んでいるという気分になった。
代表的初期作品。ユーモラス。
東京電話会社の工夫(電気工事作業員)である若い二人 南洲と北洲の物語。
電信柱等高所の作業。東京山の手の高級アパート、大邸宅を上空から の視点。アパートの一室で首を吊ろうとする若い女性を助けたり、大邸宅の富豪の奥様の不倫を見たと思われたり、意外な展開。短編ではあるが 意外で面白い展開が楽しめる。
主人公の二人は田舎から出てきた飾り気のない青年で、生き方、言動 潔し。お金にも女性にもきっぱりした態度が快い。
1930年代の社会情勢や文化が興味深い。当時映画にもなっているが、今の映画化はむつかしい。都心の千坪の邸宅とか、電信柱に登る曲芸的仕事、眼下に窓のあいているアパートとか再現不能であろう。作業する組の親分子分関係とか 飯屋の女将、娘と客の人間関係、職業婦人の職場のルールとか 詳しくてナルホドと思う。世間の難しいルール そこを潔く 義理を通して生きる健気な人々。
貧乏でも誇り高い。読んでいると良い気分になります。