初出「女性自身」1966年9月26日ー1967年5月15日
女性週刊誌というのは読んだことがないのですが、ずいぶん有力なマス・メディア。
今月、皇室では御成婚。他のメディアと異質の報道姿勢があるように思われます。「平家物語」の描写の面白さ、執拗な野次馬性の伝統を継いでいると思います。
三島由紀夫も女性週刊誌、という場をわきまえて役割を演じている。女性週刊誌的な人間の類型的なとらえ方をふまえ、腕をふるっています。
類型その1 美女魔 美しく妖艶で、ツンケンして、薄情で、ガリガリ亡者で、女くさい。あのフィアンセのお母さん、この類型にあてはめられている?
類型その2 ジゴロ 男妾タイプ 気取ったって、あの髪型。(* ̄▽ ̄)フフフッ♪ わざと富貴の女性にぶつかって「あなたは月のようです」口八丁でのし上がっても才能なんてこれっぽちもない。業界の鼻つまみモノ。 話題の青年の扱いはこのタイプ?
もうひとつ。興味深いのは、類型プラス思考。女性は交際相手を
1)結婚相手 2)恋愛相手 に分類するが 三島はそれにプラス 3)心中相手 というジャンルを作り出し、至高のものとして賞賛。
「金閣寺」の主人公溝口も完璧な美を求めて「金閣を焼かねばならぬ」という普通でない選択肢に思いいたる。心中相手の女性のイメージか。
三島の死は凡俗の作家の死に方とは異なる。旧陸軍本部のバルコニーで演説の後、軍服姿で自尽。類型プラス思考からの美学と思われます。