読書尚友

A reading room in Nagoya

2021-01-01から1年間の記事一覧

1 ルソー「社会契約論」Rousseau

桑原武夫 前川貞次郎訳 岩波文庫 昭和29年 今年来年2021 2022年は大事な選挙の年。ルソーは代議制についてどんなことを言っていたか。 Dieses Jahr Nächstes Jahr 2021 2022 ist ein wichtiges Wahljahr. Was sagte Rousseau zum repräsentativen System? 今…

2 フォイエルバッハ「唯心論と唯物論」Feuerbach 포이엘바흐

船山信一訳 岩波文庫 昭和30年 「私は欲する」前津中学1年生、春の英語の授業。先生はミセス マキノ。元気な良い方であった。しかし、その英語には幻滅した。アメリカ英語の発音にがっかり。 地図はマップ と思っていたが ミャップ。Aの発音が下品。 教科書…

3 カント「実践理性批判」Кант «Критика практического разума».

波多野精一 宮本和吉訳 岩波文庫 昭和2年 民族、文化 地域が異なっていても 理性に従ってゆけば一つの道徳は形成できる。人類は共に仲良く過ごすことができる。あなたのやることを、他の人々がやって全体が成り立つようなことをやっていれば。私は若いころ…

4 ショーペンハウエル「哲学入門」Σοπενχάουερ

石井 正訳 角川文庫 昭和29年 私の今の目から見て 最良の哲学入門の書。ニーチェが絶賛。内容は・・ Το καλύτερο εισαγωγικό βιβλίο για τη φιλοσοφία από τη σημερινή μου οπτική γωνία. Ο Νίτσε το επαίνεσε. Περιεχόμενα·· 具体的には・・ 世界は苦悩しつ…

5 レーニン「哲学ノート」列宁《哲学笔记》

松村一人訳 岩波文庫 昭和31年 ノート。ノートの限界と面白さ、自由はある。約半分はヘーゲル「論理学」について。 笔记。 笔记本有限制、乐趣和自由。 大约一半是关于黑格尔的“逻辑”的。 量論をどう読んだかに着目。つまり、民衆運動の量の高まりが質の変化…

6 ベルグソン「創造的進化」برجسون "التطور الإبداعي"

真方敬道訳 岩波書店 昭和29年 どんな哲学体系でもあら捜しはやさしい。肝要なのは、そのなかに身を置くことだ。 ベルグソン「ルクレティウス」序文 老境という砂漠においても ひとは進化しうる。 البحث عن أي نظام فلسفي سهل. الهدف هو أن تضع نفسك فيه. مق…

7 ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」Nietzsche "Tiel parolis Zarathu diris:"

氷上英廣訳 岩波文庫 1967年 表紙の文章の認識には賛同できない。とにかくキリスト教の神の没落の後、ひとはどう考え、生きるのが良く、美しいのか? Mi malkonsentas kun la rekono de la teksto sur la kovrilo. Ĉiuokaze, post la falo de la kristana di…

8 スピノザ「エチカ」Spinoza  Tagalog

畠中尚志 訳 岩波文庫 昭和26年 幾何学的秩序 というのがおもしろい。それぞれの文節にエネルギーがほどよく分散され、関連づけられている。若い時は読む時に、リズムの良い軽い快感をおぼえたが、今は各文節を薄味/凡庸に感じる。新しい境地をひらく面白み…

9 デカルト「省察」

三木 清 訳 岩波書店 昭和24年 今 一番重要なこと とも思える。というのは・・ 「省察」巻頭 科学者、学者は誰に向かって提言するのか? ということが、現在、曖昧ないし無責任になっているからである。戦時中の京都大学経済学部長、後の京都府知事 蜷川虎三…

10 ダーウィン「種の起原」

八杉竜一訳 岩波書店 昭和38年 第3章 生存闘争 昨今のコロナ騒ぎ。 ダーウィンはすでに1859年には「一つの種が、高度に好適な環境のために、せまい場所で異常にふえると、しばしば伝染病が発生する」と指摘。せまい場所、ということで、距離がとれれば吉。 …

11 ヘーゲル「小論理学」

ヘーゲル「小論理学」松村一人訳 岩波書店 昭和26年 示唆に富んだ書物。具体例を示すなら・・・ まず、108節全文を引用します。 量についての議論。 量は質を規定する。量の変化で質が変わる。素敵な彼女とすれ違っただけの人、3回会った人、100回会った…

12 エピクロス 

「エピクロス 教説と手紙」出隆 岩崎允胤 訳 岩波書店 昭和34年 エピクロスというと、エピキュリアン快楽主義の元祖という看板がついてしまうが、記述は地味でおだやか。ひとつひとつの言葉を静かにたどりたい。「手紙」であり私(一般読者)への言葉ではも…

13 ヘーシオドス「仕事と日」

岩波文庫 1986年 朴訥円満な老人というイメージであったが、文体はタリバン。江戸時代か明治の頑固おやじ風。全体に 壮語と感じる。 長男にすべて相続させ、たゆみなく働け。 「言葉の綾を尽くすより借財を返済し、飢えを防ぐ手立てを考えよ。」小室君ワカッ…

14 「禅の友」(雑誌)

曹洞宗宗務庁「禅の友」2021年12月号通巻868号 昨日明治生まれの伯母の47回忌。住職がくれる高価な雑誌。巻頭の 使得十二時 の文章、素晴らしい。趙州の年齢、謎でした。120歳の長寿との記述、それはあり得ると納得。私も「趙州録」で読んだ文章です。「私は…

15 トマス・アクィナス「神學大全」

大鹿一正 大森正樹 小沢孝 訳「神学大全 17 」創文社 1997年 表装は神學 奥付は神学。全37巻 高田三郎 稲垣良典 山田晶が単独で一冊を訳しているが、なぜか17巻だけ3人がかり。 聖職者は戦争に参加して良いか、はこの17巻。 祝日に戦争をしてよいのか?ガダ…

16 竹野一雄「C.S.ルイス 歓びの扉」

竹野一雄「C.S.ルイス 歓びの扉 信仰と想像力の文学世界」岩波書店 2012年 竹野一雄 私の大学院博士課程の恩師である。篤信のキリスト教徒。所属の教会のオルガニスト。布教的言動、それ以前に信仰の話はされなかった。ゼミの食事会は先生がいくつか注文され…

17 岩波小辞典「教育」

第2版 1973年 教育関係で一番良かった本。これを読んでひそかに考えていたことは教育学部出身の諸氏よりも的確であることがたびたびあった。教育学関係の有能な先輩、教授に「何を読むべきか?」聞いたが、みんな首をかしげるので驚いた。経済学であれば、…

18 岩波キリスト教辞典

大貫隆 名取四郎 宮本久雄 百瀬文晃 編 2002年 聖書を座右に という人 ぼんやり見てませんか? この岩波のキリスト教辞典 いいと思います。 ピラトさん みんなの前で手を洗ってみせたり 役者。セリフの「イエスとバラバ どちらを釈放する?」も劇的。聖…

19 小林秀雄「読書について」中央公論社

本棚左上 諸橋大漢和 早朝腰痛で病臥。手近にたまたまあった本、といっても最近古本屋で選んだもの。なじみのある論客ではないが 以下の論述 納得。 このWEBページ読書尚友 閲覧者1800人ほど。毎日10人前後が来場。 0人をめざしているのだが、具眼の士はい…

20 李栄薫「反日種族主義」

イ・ヨンフン「反日種族主義 日韓危機の根源」文芸春秋 2019年 信頼できる著者か? まず大丈夫のようである。金洛年「植民地期朝鮮の国民経済計算1910-1945」東京大学出版会 読んでおきたい書物。 日本の植民地支配、土地調査事業だけでも罪深い。誰の発…

21 禅学大辞典

「新版 禪學大辭典」駒澤大學内禪學大辭典編纂所 大修館書店 1985年 老境となり読書にワクワクはしないのであるが、これは読んでおきたい という書物はある。シェイクスピア、これはOEDですっきり納得できる。「趙州録」これは諸橋漢和に出てこない唐末の俗…

22 諸橋 大漢和辞典

大修館書店 昭和30年 諸橋という方の御名前 てつじ が変換できない。今使っているパソコンは台湾製ASUS のZenBook(昨年のネット上の評判第一位 ベストテンに日本メーカー見あたらず)明治以降3000字水準の文部省略字の日本、もっと猛烈な簡略字の共産党の中…

23 OED

Oxford English Dictionary 1928 昨日の眞子プリンセスの歌会始、カラスウリの和歌 やはり宮内庁の和歌に素養のある女官が烏瓜という言葉の使用を止めてさしあげるべきであった。カラスウリ、自然科学者 寺田虎彦のからすうりについての随筆、青空文庫にあり…

24 水原秋櫻子編「俳句 小歳時記」

昨日の歳時記は5冊の大型本で至れり尽くせりで結構であるが。しかし、句会とか、初心者とも言えない私が句を作る時に役立つのは なぜか小型のこの歳時記である。 王泉書店 1999年 どうして追い詰められた状況で役立つのか。編者は豪華本もポケット版も同じ…

25 歳時記

水原秋櫻子・加藤楸邨・山本健吉監修「日本大歳時記」講談社 昭和56年 年賀状に添える一句のために歳時記をとりだしました。よく編集されているので快い。歳時記というのは、同じ季語であっても3種あれば3つともまったく異なるから不思議。 年賀状の鶴の絵…

26 羽仁五郎「都市の論理」

自伝的戦後史 講談社 昭和53年 日々を楽しく。紅茶のいれ方、とか。平和なのだから。しかし、戦争の始まる1941年も、鈴木大拙によれば みんな「タコつぼのなかでのんびり」であったのう。日々の年表を見ても、1941年の正月「甲子園球場にスキーのジャンプ台…

27 ラ・ロシュフコー箴言集

岩波文庫 1989年 一昨日コロナ禍一過の久しぶりに大型書店。捜しても見当たらなかったロシュフコーを買う。以前持っていた文庫本より分厚い。数行の記述の集成だけでなく、文章もあり、解説も詳しい。別の本を手にしているような気がする。 記憶では上品で才…

28 茶道誌「淡交」織田有楽特集

「淡交」2021年11月号 淡交社 特集 織田有楽斎と茶の湯 昨日 コロナ禍後 久しぶりに地下鉄に乗り本屋大型店へ。一階がドラッグストアにかわっていた。「淡交」千宗室の巻頭言が清々しい、むだのない文章。 「無門関」かつてノートとりながら50則を吟味、本…

29 加藤周一「読書術」

岩波書店 2000年 昔読んだ光文社版は1962年 昨日のサルトル わかった気がしない。読書とは何か わからなくなった気がした。そこで 若き日に読書がわかった気にさせてくれた加藤周一「読書術」をひもとくことにした。しかし、著者、題名が同じでも中身がちが…

30 サルトル「文学とは何か」

サルトル「文学とは何か」加藤周一 白井健三郎 訳 人文書院 昭和27年 サルトル全集 第九巻 文学とは何か。 立場をはっきりさせないと、と言われても、立場を作るために読んでいたし・・・。立場などない私だし・・。 誰のために書かれたか それは思う。能の…