幹事責任者 新木正之介 編集者 川島保良
「回想のブライス」 印象社 昭和59年 非売品
ブライス Reginald Horace Blyth 1899-1964
ブライス縁故の人々の思い出の文集 29編
最後の新木正之介氏の文章が70頁ほどで例外的な長文。詳しい記述となっている。
上掲の三橋光氏の文章が簡潔的確。
写真 年譜 執筆者の選択 など 編集が効いている。
R.H.ブライスという人 今では忘れられつつあるが、特筆すべきは、
(1)俳句 川柳の英訳 海外への紹介 膨大、体系的で正確。出版は吉田茂総理大臣の後押しがあり 終戦直後の出版物であるにもかかわらず立派な装丁。学習院大学の助手的役割の女性たちも作業に協力したはずで 今では望めない水準のものである。
神田の古本屋で「ブライスの俳句の本を探している」と言うと 店主「そんなもんが出たら30
万円だよ。ない。」とのことであったが、最近では数万円で入手可能。
(2)禅の海外への紹介。1960年代のアメリカの禅ブームはブライスの著書の影響下にあった。鈴木大拙の友人。最初は大拙の著書・思想に心酔。出会ってからは友人。
(3)終戦直後の天皇の人間宣言 英語版の起草者。1946年正月の天皇の人間宣言は 海外で好感を持って迎えられ それまでの天皇は戦争犯罪人として処刑せよ との国際世論は終息。天皇家とブライスは良好な関係を維持。
ブライス「象も菜食で大きいでしょ」
皇后 アハハ
(4)主著 Zen in English Literature
(5)高弟 平成天皇 ブライスは天皇家の家庭教師で 英語、英詩を教えていた。ブライスは記者団の質問「何を教えているのか?」(占領軍が皇太子につけた家庭教師の在り方を問う)にブライスは「ライフを教えている」と答え物議をかもした。「英詩を教えてます」(教養)なら問題にならないが ライフ となると人生観世界観の教示ともとれ 占領軍による皇太子洗脳 ともとれるからである。
高弟 荒井良雄学習院大学教授 宗片邦義静岡大学教授 おふたりにはブライスについての著書が何冊かあり。
(6)戦後の英語学習レコード それはすばらしい発音。荒井先生に5枚組の旺文社のものを渡しましたので どこかに保存されているはずです。