読書尚友

A reading room in Nagoya

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

46 カレル・チャペック「ダーシェンカ」

カレル・チャペック 1890-1938 「ダーシェンカ 子犬の生活」新潮社 2001年 ダーシェンカの業績 知り合いでラブラドールに家具一切をかじられ、パイプ式の椅子で暮らしている夫婦もみえます。遠藤周作の家の犬は主人の帰宅を喜んで玄関で小便をもらしていたと…

47 安達俊夫「ラブラドルレトリーバーの飼い方」

成美堂出版 1999年 楽しい生活 今日はラブラドール。 家に来たときは小さな箱にはいっていて、ひっそり静かでした。 すぐに 風船がふくらむように。 3回くらい首輪を大きいのに変えた。 数か月のこどもだから人に抱きつこうとするけど もう大きくて 肩のあ…

48 田河水泡「のらくろ自叙伝」

光人社 昭和58年 戦後編 昨日、近江商人の出世ばなし。出世といえば、のらくろ。 のらいぬ 初年兵 一等兵 上等兵 伍長 軍曹 少尉 中尉 大尉 戦後の のらくろ 出世について考える 出世は江戸後期 明治大正昭和 人生に希望を与えるものであった。軍隊で階級が…

49 小倉栄一郎「金持商人一代記」

言叢社 昭和59年 表紙絵 著者 生活の楽しみ 今日は近江商人。 豪商中井源左衛門良祐の一代記。孤児が一代で30万両の金持商人に。 目次 行商→店持ち→関東に拠点→首都 実証的で克明な記述 筋が見えてくるという 近江商人研究の教授の著作 若いころは苦労して、…

50 久田徳二「北の大地を耕して 駒谷農場120年の記録」

久田徳二の編著 このところ 生活を楽しむ ブライス、杉浦日向子の本を見てみました。 今日は 北海道の生活。 久田徳二氏 農業一家の120年を追うミクロの目あり。トランプ政権の農業政策の北海道農業への影響を見る世界的マクロの視点あり。過去/未来の視座。…

51 暮しの手帖 「すてきなあなたに」

暮しの手帖社 平成15年 ブライスさんは記者の「皇太子(平成上皇)に何を教えているのですか?」(英会話とか、英詩英文学という答えを期待)の質問に「ライフを教えている」と答え、物議を醸した。ライフを生き方と解釈すると、マッカーサーの選んだ皇室外…

52杉浦日向子『うつくしく、やさしく、おろかなり ― 私の惚れた「江戸」』

筑摩書房 2006年 杉浦日向子さん、ブライスさんに似ている。 「ライフ」大事のブライスさん、「江戸の暮らし」に惚れる杉浦さん。 探求ぶりも似ている。 江戸のおんな の章 杉浦日向子のこの本も川柳の引用が多い。この章にも、 馬鹿らしい いやよと暗いほう…

53 ブライス「川柳にみる日本人の生活と国民性」

R.H.Blyth Japanese Life and Character in Senryu 豪華本 宰相吉田茂はひそかにブライスの出版を援助。ブライスは欧米で名高い。親しみやすいが上質な内容。戦前駐英大使であった吉田は欧米で評価される形を知っていた。敗戦後、日本と日本文化の評判を守る…

54 荒井良雄「ブライス禅の世界 ー平和は詩心からー」

2004年 北星堂 ブライスの自伝、荒井の編集能力は神業。引用元の英語本は豪華本で現在入手困難。 第4章 ブライス禅の世界 ブライス禅の本質。ブライスの言葉で、荒井良雄の編集で。 荒井良雄訳 このページで第4章は終わる。 以上の引用が ブライス禅 簡潔…

55 R.H.ブライス「禅についての25のエッセイ」

R.H.BLYTH TWENTY-FIVE ZEN ESSAYS (Zen and Zen Classics, vol 5) The Hokuseido Press 1962 ブライスの「禅と禅の古典」 杉本さんの本には「出版社に注文したのですが1、2巻しか在庫がなく」p.243 それでは補足します。5巻の写しを示しましょう。出版社…

56 杉原京子「禅と俳句を愛したブライズ」

杉原京子「禅と俳句を愛したブライズ」岩波ブックセンター 2012年 すぎはら けいこ さん。 ブライズ としてみえるのは 上田邦義教授のが ブライズ とされていたためである。R.H.BRYTHさんについての著作。 戦後日本民主主義の書。晩期ブライス研究。因習化し…

57 夏目漱石「文学論」

夏目金之助「漱石全集 第14巻」文学論 岩波書店 1995年 文学的内容 = F + f F : 焦点的印象 f : 情緒的要素 ワーズワースの 黄水仙 + 旅路の散歩気分 漱石 猫の視点 + ユーモア キリスト教文学の泰斗 山形和美氏の広大な邸宅には、お弟子さん数人がかりで…

58 山形和美 編「聖なるものと想像力」

キリスト教文学会の権威 山形和美教授 那須高原の英国風白い館、敷地は広く、緑が深い。車が2台、黄色のかわいいワーゲンと灰色のベンツ。一階の広いお部屋で奥様とお嬢さんが出迎えてくださいました。お嬢様とはフルート奏者の山形由美さん。先生がワーゲ…

59 鈴木大拙「宗教経験の事実(庄松底を題材として)」

鈴木大拙「宗教経験の事実」鈴木大拙全集第10巻 岩波書店1969年 「妙好人」庄松のことは先月(9月7日)ふれた。鈴木大拙はその分析をこの本でしている。妙好人(浄土宗)多数例の考察、というのが大拙の禅の人としてのユニークさ。体験、修行者としての禅…

60 趙州禅師語録

「趙州禅師語録」鈴木大拙 校閲 秋月龍珉 校訂國譯 春秋社 昭和39年 四庫全書 なんでも鑑定団 1500万円 四庫全書 私の趙州録 禅の書物 どこか自分にそぐわない気がしてあれこれ見ておりました。鈴木大拙の「趙州録 おもしろい」という言葉、ブライスの禅の本…

61 法華経

田村芳朗・藤井教公 著「法華経」大蔵出版1988年 提婆達多品第十二 龍女成仏 薬王菩薩本事品第二十三 焼身供養 老人の今、かなり期待して読み始めた。小学校のころ家が大田区久が原で、法華経を所依とする日蓮宗の本門寺が近くにあり、祭りの晩には遠く 太鼓…

62 維摩経

植木雅俊訳「維摩経」岩波書店 2011年 「維摩経」楽しく読めました。 第6章 天女 菩薩のお話に喜んだ天女が天上の花をふりまく。 読んでいて、東大寺の行事での紙吹雪想起。老僧の白い紙片をふりまく姿、奇異に感じておりました。原像発見。仏教の説話、超…

63 竹村牧男「日本仏教のあゆみ」

竹村牧男「日本仏教のあゆみ」NHK出版 2015年 「般若心経」の次。ここ数年で「法華経」「維摩経」を読みました。 NHKの竹村という方の放送番組6回分を三回ほど見返し。それから法華経とか読むことに。今日は維摩経について書いてみよう、と思いついたのです…

64 般若心経

「清 傳山 小楷精選」天津人民美術出版 社2015年 書道の本 現代の書家を比較しておりました。上掲の書 好きです。中国人の書家作品、般若心経、一字一句日本と同一。日本での読経は中国での読経と同一の音声。本式、ではありますが、難解至極。パーリ語→サン…

65 角井 博 監修「中国書道史」

李叔同「楷書軸」日本留学帰国後仏門に帰依 角井博監修「中国書道史」芸術新聞社 2009年 殷末周初 鼎 後漢 曹全碑 漢隷の双璧 王義之 「十七帖」 東晋 張玄墓誌 南北朝 顔真卿 「顔氏家廟碑」 780年 隋・唐・五代 朱熹「編集文字帖」 1172年頃 祝允明「草書…

66 石飛博光他「禅の心を書く」

石飛博光 江口大象 岡田契雪 田中節山 吉川蕪仙「禅の心を書く」可成屋 発行年未記載 仙厓 「無事」 仙厓義梵 せんがい・ぎぼん 1750-1837 無事是貴人 平常無事など臨済禅の言葉 日々是好日 良寛 「天上大風」 大愚良寛 だいぐ・りょうかん 1758-1831 天上大…

67 山頭火句集

大山澄太 編「定本 種田山頭火句集」彌生書房 昭和46年 「フジ三太郎」でサラリーマンの心象風景に同感したつもりになりましたが、そうなのでしょうか? 私の友人でサラリーマンであった人は、山頭火好き らしい。 私は朝 狭いアパートの玄関で靴をはくとき …

68 サトウサンペイ「フジ三太郎」

朝日新聞社 1982年 選挙 「フジ三太郎」 仕事に追われ忙しかったころの昭和40年の朝日新聞掲載。おもしろかったと記憶。今見ると、それほどでもない。微妙な笑い。時勢、その日の記事の解毒剤。1コマ目 身近な男女平等が目新しかった。2コマ目 日本の日常…

69 「女子会川柳」

「女子会川柳」ポプラ社 2013年 日曜日 布団干したい でも寝たい 腐っても 使えなくても 正社員 (1) じじくさい 思った相手が 同い年 気がつけば 癒し系から 威圧系 5時までは 体の調子 いまひとつ 病欠の 電話済んだら 元気が出 ストレスは 仕事じゃな…

70 長谷川町子「いじわるばあさん」

朝日新聞社 1995 今月31日は総選挙。 昨日「趙州録」224段を読んでいたら、覿面てきめん、という懐かしい言葉に再会。 質問に答えたり大写しになると、わかりますネ。長谷川町子の政治家の見方、ユーモラス。覿面のだいご味あり。 長谷川町子の「いじわる…

71 ビアス「悪魔の辞典」西川正身 編訳

ビアス Ambrose Bierce 1842-1914「悪魔の辞典」岩波書店 1997年 日中関係・日露関係への視点 愛国者 : 政治家に手もなくだまされるお人好し。征服者のお先棒をかつぐ人。 愛国心 : 無頼漢の最後の拠り所。 母は同世代の特攻隊員を「不良ダガネ」と品定め。…

72 「三島由紀夫レター教室」

三島由紀夫「三島由紀夫レター教室」筑摩書房 1991年 初出「女性自身」1966年9月26日ー1967年5月15日 女性週刊誌というのは読んだことがないのですが、ずいぶん有力なマス・メディア。 今月、皇室では御成婚。他のメディアと異質の報道姿勢があるように思わ…

73 フルトヴェングラー「音と言葉」

W.Furtwaengler Ton und Wort フルトヴェングラー「音と言葉」芳賀 檀 訳 新潮社 ブライスさん 最終回 バッハ まずフルトヴェングラーとは 神話的名指揮者 1886-1954 ブライスさん 鈴木大拙 と共通点 科学主義批判 ブライスさんとは音楽的に同時代の人。百花…

74 C.S.ルイス  スクルーテープの手紙

C.S.Lews 1898-1963 ブライスさんが良心的兵役拒否で収監されたのはワームウッド刑務所。 ワームウッド刑務所玄関 ワームウッドという名の主人公が活躍する小説があります。C.S.ルイス「スクルーテープの手紙」山形和美編集「C.S.ルイス著作集 1」では「悪…

75 R.H.ブライス 「禅と英文学」

「禅と英文学」第13章 PARADOX ブライスさん 主著「禅と英文学」 R.H.Bryth Zen in English literature and Oriental Classics 1942 THE HOKUSEIDOU PRESS ブライスさんが大事にしていたのは Poetry in every-day life 日々の詩情。具体的には 3B。Bach バッ…