鈴木大拙「宗教経験の事実」鈴木大拙全集第10巻 岩波書店1969年
「妙好人」庄松のことは先月(9月7日)ふれた。鈴木大拙はその分析をこの本でしている。妙好人(浄土宗)多数例の考察、というのが大拙の禅の人としてのユニークさ。体験、修行者としての禅の認識というのが宗教界、マスコミ界での大拙の重み。全集の中でも注目する一冊。その他のもう一冊は、終戦直後の天皇家への御進講も平易、簡潔、戦後の日本の方向性として注目。
上掲引用文1 上段「無限」の第一系列 下段「有限」の第二系列
涅槃 ー 生死 愛 ー 力
宗教に生きる境涯の 庄松 ではどうなっているのか?が分析される。文盲に近い庄松が生き生きとした宗教的境涯。大拙の指摘は指導者の存在。吉兵衛も多くの僧の講話を聴いて問答をしている。そして有限から無限が沁みだしてくる。それは内から起こらねばならない、という。
明日はキリスト教文学の泰斗 山形和美「聖なるものと想像力」彩流社 について。山形は有限から無限(聖なるもの)へは想像力で、と言っているが、山形の想像力は光に満ちて壮絶。