ここ数日、ものの見方、考え方・ 観想/テオリア の諸相。
今日は東西文化の比較の視座、ブライスさんの本を見てみましょう。
今日 9月28日発行。出来たて。ていねいな編集、翻訳。
Reginald Horace Blyth 1898-1964 R.H.ブライス
イギリス生まれ、第一次大戦兵役拒否。獄中で採食主義者へ。植民地時代の京城大学語学・文学教員。鈴木大拙の英文禅著作に出会い禅の人となる(戦時戦後最高の真人)。来日、帰化を希望するも日本政府却下、開戦の年に主著「禅と英文学」出版。第二次大戦中は外国人収容所収監。戦後GHQ関係者。天皇の人間宣言の核心を起草。皇太子(今の上皇)の家庭教師「英詩でライフを教えている」との発言は物議をかもした。東京大学、学習院大学などで英詩、英文学を講義。俳句、禅、川柳の広範な学術的英訳紹介で欧米での評価は高い。
今回の出版は、「翻訳」が快挙。ゲーテ、セルバンテス、ダンテ、短い引用が自由自在、どんどん出てきて翻訳不能とされていた。もうひとつ。雑誌 The Cultural East の章。泰斗・荒井良雄先生であっても「見たことがない」と言ってみえた幻の名雑誌が日本語で読める、予期せぬ喜びである。終戦直後、鈴木大拙とブライスで刊行していた、ブライスの思い入れが特に深かった雑誌。
ブライスは、主著において英文学にも禅があるとし、シェイクスピア作品等、具体的に抜き出して指摘。
The Cultural East の記述によれば、東洋文明は神秘的「そのもの自体である精神」。昨日のこのWEBページ 僧侶の夢としての江口/普賢菩薩。
西洋文明は「そのもの自体を知ろうとする精神」明日シェイクスピアで検討しましょう。社会に鏡をたてかける、とシェイクスピアも言っております。「ジョン王」冒頭の「力には力で 血には血を。フランス王にそう伝えよ」のシーンが脳裏にあります。
その西洋と東洋をどうすると良いのか?この本の第3篇、読んでみましょう。
本日発売。
後日の補足説明
私の本棚の ブライス文献
春海(長女)さんによれば、御長男(孫)は座右に全著作を集めてみえたとのことです。ブライスの本はアメリカでネットで探すのが容易らしいです。
ブライス研究
上田邦義氏 は現在 宗片邦義氏
杉本京子さんは上田氏の大学院教授時代の院生。
上田ゼミでは先生と杉本先輩のブライス談義が延々と続いておりました。上田先生は楽しそうに答えてみえました。戦後のブライスさんは 日本の禅 ノー・サンキュー の立場となり、その辺の議論が印象に残っています。
「回想のブライス」は没後まもなく出された篤実な記述の諸氏の文集。親友がブライスさんの没後、お母上をイギリスに訪ねた話とか、京城時代の暮らしぶり、丘の上に純日本風の家を建て目立っていたとか、デパートの売り子だった奥様との出会いとか。
荒井良雄先生がブライスの研究を先に進めたといえましょうか。英文の著書はイギリスで表彰されています。