ブライスさん 主著「禅と英文学」
R.H.Bryth Zen in English literature and Oriental Classics 1942 THE HOKUSEIDOU PRESS
ブライスさんが大事にしていたのは Poetry in every-day life 日々の詩情。具体的には 3B。Bach バッハ 芭蕉 Bible 聖書。Buddhism という見方が多数派かもしれませんが私は聖書と考えます。
長女の春海さんから「父の座右にはいつも聖書がありました」と 聞きました。春海さんというお名前は、戦争直後、平和な日々となったころ、春海さんが生まれたのですが、その日ブライスさんはバッハのあの曲を聴いて感動、瀬戸内の春の海を連想、春海さん命名。
主著にも(上掲)神の声の楽譜がのっています。
ブライス家ではどんなバッハ曲が流れていたのか、春海さんに100曲聞いてもらい、よくきいた曲に丸印をつけてもらいました。
何と 8割以上に丸印。傾向というよりバッハ漬け。
同席の荒井良雄先生にも丸印をつけてもらいましたが、こちらは顕著な傾向があり、無伴奏チェロ系好み。先生はバッハに禅の境地をみてみえると解釈。あなたは?
ブライスさん 私からみて・・
自由に楽しくユーモラスに日々を楽しみましょう
詩、禅、それとともにバッハ 聖書の音楽化としてのバッハ
ブライス禅(フレンド派系キリスト教と融合)の人。自由な境涯。この稿ではその音楽性を指摘。
最晩年、「ハワイに移住したい」これを聞いた鈴木大拙が「とにかく病気が治ってから」と止めたわけです。このあたり、日本が嫌いになったわけではなく、真の禅の人の意向。その境涯は、
御本人も主著第1章で言ってみえる 道元の境地
水鳥の往くも還るも跡たえて
されども道は忘れざりけり
The water-bird
Wanders here and there
Leaving no trace,
Yet her path
She never forgets. 道元の詩(偈) ブライス訳
専一辨道 莫帰郷
禅の道に専念する人に故郷はない
キリスト者渡辺和子さんが修道女となった時、私物は一切なし。写真1枚だけ。家族の居間での写真。(その部屋に 二・二六事件の青年将校乱入、彼女の目の前で父は機関銃で惨殺された)修道の人に故郷はない。
ブライスさんの境地 家庭的な暖かみの主旋律もきこえてきます。
家庭でバッハの曲を合奏。
バッハの楽譜が残っています。板紙で裏打ちされている。ていねいな筆跡、しもぶくれの B はブライスさんの文字(下掲)の特色ではあるが 若い女性(お嬢さん)の精緻な作業か?
たくさんあった楽譜は銀座のバッハ協会に寄付された、と聞いております。
追記 ここ3日で多くの方が閲覧にみえました。
ブライスさんを慕う人々でしょうか。
手元の資料を追加。