読書尚友

A reading room in Nagoya

11 ヘーゲル「小論理学」

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ヘーゲル「小論理学」松村一人訳 岩波書店 昭和26年

示唆に富んだ書物。具体例を示すなら・・・

まず、108節全文を引用します。

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量についての議論。

量は質を規定する。量の変化で質が変わる。素敵な彼女とすれ違っただけの人、3回会った人、100回会った人、交友の質が違ってくる。どのくらいの量でどのような変化になるのか。ヘーゲルは上記の文章で 毛が抜けたら禿か と問いかけている。量の問題。一本の抜け毛と千本の抜け毛。ロバの背に1グラム荷物を増やしたらどうなる?限度を過ぎる500グラムであっても深刻。

岸田首相は「新しい資本主義社会」を提唱。何をどれだけ変化させ、どんな質をめざすのか? その財源は? 今1500兆円の国債発行、ロバの背への最後の重荷とならないように、という発想がヘーゲル「小論理学」を見ているとわいてくる。

憲法改正。スイスの小さな一州の憲法ローマ共和国憲法は異なる、とヘーゲルは言うが、どんな改正案が出てくることやら。現行憲法は世界の憲法を占領軍の若い俊英が見ながら作成。わりと視野が広い。改正案、格調高く寿命の長い条文を希望。

ヘーゲル哲学、わりと実践的な議論の基礎をなしていたと考えます。