私にとっての「徒然草」の良さは、わずかな時間、ランダムによんでも、これがベストという話を聞けること。
第13段 ひとりともしびのもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友するぞ、こよなう慰むわざなる。文は文選のあはれなる巻々・・・
列挙は「枕草子」の「文は 」に学んでいるのであろう。今では「見ぬ世の人」がロシア人であったりフランス人であったり。
第14段 和歌こそ、なほをかしきものなれ。あやしのしず・山がつのしわざも、言ひ出でつればおもしろく、おそろしき猪のししも、「ふす猪の床」と言ねば、やさしくなりぬ。
なるほど。寂蓮法師の「八雲御抄六」に同一の言葉あり。兼好の編集を褒めるべきか。
結城又四郎「吉原徒然草」第15段
小歌こそ、なほ色めかしきものなれ。おやじの実めきしも、ひとふしいひ出づればおかしく、おそろしき奴も「又寝の床」とうたえばやさしくなりぬ。