読書尚友

A reading room in Nagoya

127 モーリス・ベジャール回想録 誰の人生か

La vie de qui? Maurice Bejart

前田允訳 劇書房 1999

舞台上の生 舞踏

聖者と娼婦の間で、世界と神の間で、我々のダンスは展開するニーチェ

 

この本はベジャール独特の「生」の追求。創造的表現者である彼の素顔。ベジャールの舞踊は新しい宗教であり、見おわって、生まれ変わるべきものである。

 

ベジャールはフランス人 ニーチェはドイツ人であるが、「聖者と娼婦の間で、我々のダンスは展開する」であれば 世阿弥の「江口」と同一。

淀の川舟の遊女 ♪ これまでなりや帰るとて すなわち普賢菩薩と現れ舟は白象となりつつ 光とともに白妙の白雲にうち乗りて西の空に 行き給ふ

風姿花伝」の舞踊への言及から 今日はマーゴ・フォンテインのバレエの本でも、と思いつつ、それよりピナ・バウシュ いや やはりベジャール となりました。この自伝の記述は塵まみれ、忙しそう、ヌレエフの怒号が聞こえてきたりで臨場感現実味が過剰。