読書尚友

A reading room in Nagoya

120 「戦艦大和ノ最期」 吉田 満

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艦内スピーカー「郵便物ノ締切ハ1000(十時)」気進マザルモ励マシ合イ、家二シタタメントス 遺書ノ筆ノ進ミ難キヨ サレドワガ書ク一文字ヲモ待チ給ウ人ノ心二、報イザルベカラズ 母ガ嘆キヲ如何二スベキ」

若き日 北海道の牧場で働いていた。牛300頭、働き手十名ほど。宿舎の同室は西成で労務者をやっていたオジサン。がっしりした体格でいかつい風貌。若い人ばかりの中で一人中年。みんな仲が良かったが、学生アルバイトが増える夏にはナマケモノが寝ている干し草の近くにフォック(フォーク状のシャベル突き刺して干し草を運ぶ)を投げるそうで・・・私には私の分まで働いてくれ有難かった。牛舎入口の雪かきを命じられたが雪ではなく氷の塊で困っていたら察して来てくれて片付けてしまった。給料日にお礼をしようとしたら逆にみんなに焼き肉をおごってもらってしまった。給料は全部その日に食べてしまう。強度のメガネをかけていたが、休み時間には読書していた。「戦艦大和の最後」をその時は読んでいた。その世界に浸って、楽しそうであった。

意外なのは、出航し外洋に出た大和艦上での 烈シキ論戦 。軍人が論争するとは知らなかった。沖縄に直行、快速の戦艦上での大論争。内容は今でも色褪せない。

今目覚メズシテイツ救ワレルカ 僕タチハ先導二ナルノダ 日本ノ新生二サキガケテ

散ル マサニ本望ジャナイカ

知りたいのは最後の歌。今「戦艦大和ノ最期」を見返してもでてこないが、軍歌二曲が歌われたはず。海ゆかば と 狂え海。狂え海 がどんな曲なのか、軍歌全集レコードのものもCDのものもこの曲はない。

1800(六時)総員集合 清装

最後ノ総員集合ナラン 「帝国海軍部隊ハ沖縄島周辺ノ敵艦船二対スル総攻撃ヲ決行セントス 皇国ノ興廃ハ正二此ノ一挙二アリ ・・・ 其の栄光ヲ後昆二伝エントスル二外ナラズ」皇居遙拝 君ガ代奉唱 軍歌 各艦相呼応シテコダマの如シ 万歳三唱 清明ナル月光