読書尚友

A reading room in Nagoya

105 旅上 萩原朔太郎

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旅上   萩原朔太郎

ふらんすへ行きたしと思へども

ふらんすはあまりに遠し

せめて新しき背広をきて

きままなる旅にいでてみん。

汽車が山道をゆくとき

みづいろの窓によりかかりて

われひとりうれしきことを思はむ

五月の朝のしののめ

うら若草のもえいづる心まかせに。

 

 

萩原朔太郎のこの詩をはじめてふれたのは、高校時代、名鉄東岡崎駅前の書店で買った「日本青春文学名作選 8 日本青春詩集」学習研究社 昭和40年。 クラスメートの坂口君が貸してくれ、と言うので「こんな本珍しくないジャン」と言って貸した覚えがある。坂口君は笑顔の美しい丸ぽちゃ顔で、何か はにかんで理由を言ていた。

萩原のこの詩はなぜか、旅行の時、反芻してしまう。

 

群衆の中を求めて歩く

私はいつも都会をもとめる

都会のにぎやかな群衆の中に居ることをもとめる

・・・

 

この詩も時々 復唱。萩原朔太郎「純情詩集」手に入ったら気楽に読める詩をさがして読んでみたい。古本で1万円~2万円。