旅上 萩原朔太郎
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめて新しき背広をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことを思はむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。
萩原朔太郎のこの詩をはじめてふれたのは、高校時代、名鉄東岡崎駅前の書店で買った「日本青春文学名作選 8 日本青春詩集」学習研究社 昭和40年。 クラスメートの坂口君が貸してくれ、と言うので「こんな本珍しくないジャン」と言って貸した覚えがある。坂口君は笑顔の美しい丸ぽちゃ顔で、何か はにかんで理由を言ていた。
萩原のこの詩はなぜか、旅行の時、反芻してしまう。
群衆の中を求めて歩く
私はいつも都会をもとめる
都会のにぎやかな群衆の中に居ることをもとめる
・・・
この詩も時々 復唱。萩原朔太郎「純情詩集」手に入ったら気楽に読める詩をさがして読んでみたい。古本で1万円~2万円。