読書尚友

A reading room in Nagoya

87 田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」

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田辺聖子ジョゼと虎と魚たち」短編集 KADAKAWA 昭和62年

しばらく童話について書いてみよう。グリム童話ピノキオ、ムーミン とか。

第一候補「大理石の心臓」。ある日男の家に悪魔が訪ねてきた。「お前の生き生きした心臓をこの大理石の心臓と取り換えると、思いのままに出世できるのだ。他の偉くなった奴らはそうしている。」・・・ヨーロッパの街が舞台であったように記憶している。

ところがなぜか 本がない。グリム童話を検索してもそのような題名の作品はない。十年ほど前、山の家のある高原の町で、廃校となった中学校の校舎の利用を村おこしグループが模索。「図書館にしてはどうか」「ムツカシイ本はイラン」「絵本童話をならべましょう」ということになり、やまの家の蔵書の児童本全部、姉も協力してくれ、私も神田の古本屋街でまとめ買い。  その後町長が交代、廃校の校舎維持は経費がかかるから取り壊し。本がどうなったか、館長のはずの私に連絡はない。

そこで、手元にある本。田辺聖子は古典文学案内本を愛読。川柳の解説など行き届いている。この本はそのついでに読んでみました。

ジョゼと虎と魚たち車いすのジョゼ。真剣、鮮明な生き方。車いすで坂を突き落とされるシーンなどリアル。助けてくれた男と恋仲。イイね。車椅子を押してもらって動物園へ。施設から行ったことはあるが、遠慮して短く通り過ぎるだけ。今回は恋人つきそいで見たいところで見たいだけ見ることができる。虎が近寄ってきて大興奮。初めての水族館。海底風展示大きなガラスから見る魚たち。幸福の気分を「死んだモン」と表現するジョゼ。うなずいてしまう。