読書尚友

A reading room in Nagoya

85 モンテーニュ「エセー」

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岩波文庫 原 二郎 訳 1966年 

モンテーニュの「エセー」。とりとめもなく読み続ける快感は西洋の賢者の談話に同席する臨場感。今読み返しても、まづまちがいのないことが語られている。(a) が最初の記述で (c) は3度目の加筆である。「最高善は何か」トルストイの書物で初めてこの問の立て方に接した時はトルストイは天才と思ったが、のちに、アリストテレス「二コママコス倫理学」での「最高善は幸福である」との整然とした議論を読むと、トルストイの議論のモタモタが頭悪い感じに思えた。モンテーニュによれば228の解あり。さらに視界がひろがった気がする。228の最高善の説あり、はアウグスティヌス神の国」19-9 からの引用。訳者の原氏の丁寧な注に感謝。モンテーニュは「神の国」を読んで、この部分に加筆したと考えられる。

トルストイの手の中の最高善の議論 天上の花と驚いたが、アリストテレスの最高善に接し、先行例ありと認識。そしてモンテーニュをよんでいて 288種類あり と教えてもらうのは心地よい読書。