読書尚友

A reading room in Nagoya

111 アムンセン 「南極点」

ロアール・アムンセン 中田修訳「南極点」朝日文庫 1994年

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アムンゼンの南極への冒険の本を読んだのは小学生の頃。記憶によれば…イギリスのスコット隊との競争で日本からも参加。白瀬中尉が南極をめざした。アムンゼンは南極点に達したのち帰路に食料を残しスコットを助けた、といった物語を読んだ。小学生のころ、本屋さんには子供のための 偉人伝の棚があり、数十冊並んでいた。ワシントン、ヘレン・ケラー、ナポレオン、キューリー夫人とか。

家の本棚をみるとこの本があった。私が読んだ偉人伝ではなく、家人の買ったノンフィクション読み物。スコット隊は艱難辛苦の末帰路で全員死亡。アムンゼン隊は快調。スコットの用意した馬は寒気で倒れ 人がそりを曳くこととなる。4人分の用意に5人が参加、ひとりだけスキーがなかった。パナマ港通過時、アムンゼンの船には97頭の犬。南極点への往復にした時使用されたのは11頭。普通の餌の他、犬の生肉を与え、快速の帰路となった。アムンゼンがスコットに帰路の食料を残す善意の様子を探したが、特別な記述はなかった。中間点のテントには十分な食料確保、その20キロ手前で遭難。「もはやこれ以上書き続け得るとは思われず。神よ、願わくはわれらが家族のうえをみまもりたまえ」   アムンゼンにスコットへの善意はなかったのか? アムンゼンの記述には南極で表敬訪問があった時に「犬の半分をプレゼントしてもいい」と申し出た、とある。アムンゼンはスコットが遭難するとは知らないのであり、自分たちのことであわただしく行動、と伝わってくる。

日本隊の記述が奇妙。2名を残して湾内クルージング? 一刻を惜しんで南極点をめざしていない風 最初の南極観光? 2名も 氷の山に大喜び、言葉が通じていない模様。他日 表敬訪問しても隊長は出てこない。ペンギンを箱に入れ持ち帰ろうとしていたり、あざらしを虐待したり。

 

ベジャールのコンテンポラリーバレエでのあるものをヴィデオで見ていたら、

私は鳥 私は飛行機 私は日本人」と叫ぶのがあり たいそう戸惑ったが アムンゼンの南極紀行にでてくる日本人を読むと 納得。

 

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スコット隊は履物がそろっていなかった。アムンゼン隊は用意周到。

靴 で思い出しました。

アウシュヴィッツ収容所から生還したユダヤ人作家 プリーモ・レーヴィ「これが人間か」 生き残りのための靴の重要さが説かれている。ドイツの敗戦で収容所から解放はされるが生きていくのは大変。レーヴィはまづ靴を入手。食べ物より靴。その靴で故郷のイタリアの町まで荒廃したヨーロッパ大陸を歩く。