柳田邦男「人生の一冊の絵本」岩波新書 2020年
NHKの早朝のラジオ番組で柳田氏が絵本についていい感じで話してみえた。ルポルタージュ本のライターと思っておりましたが・・。早速ネット紀伊国屋に注文。実物を手にとらないで買うのはハズレの時もあるので、吟味してみましょう。
「絵本との出会い、何かが変わっていくかもしれない・・・。幼い日の感性の甦りが、こころのもち方の転換が、いのちの物語が、人を見つめる木々の記憶が、そして祈りの静寂が、そこにはある。」
具体的に新見南吉の記述では、
「「でんでんむしのかなしみ」の主人公のでんでんむしは、ある日、自分の背中の殻のなかにはかなしみがいっぱい詰まっていることに気づくと、もう生きていけないと思って、友達のでんでんむしに話す。するとどの友達も、<わたしの せなかにも かなしみは いっぱいです> と言う。みんな同じなのだ。ついに、主人公のでんでんむしに、深い気づきが起こる。どんな気づきなのか。かなり意味の深いことが語られている。」
絵本で物語は 気がついて、数行「でんでんむしは もう、なげくのを やめたので あります。」で終わる。気づいてから 何も語っていない。「でんでんむしのかなしみ」は新見南吉 東京外語学校在学中の作品。祈りの静寂は読者の柳田氏の 読み と思われます。