読書尚友

A reading room in Nagoya

143  ジュール・ヴェルヌ「海底二万里」

朝比奈美知子訳 岩波文庫 2007年

 最初に「海底二万里」を読んだのは60年以上前、小学校時代で、講談社 少年少女世界文学全集の一冊としてであった。ワクワクワクワクの読書体験。子供用でない訳文も、このように興味深い。

 今では 海底旅行も宇宙探検も現実のものとなった。

 知床の海底100メートルに沈んだ観光船にもまもなく潜水夫が向かうという。しかし8億円。宇宙旅行も今や参加可能。60億5000万円。深海も宇宙も居住環境は過酷。

 ここで描かれているのは 深海の図書室。ワクワク。しかし現代の現実の潜水艦にはこのような優雅な空間はない。このノーチラス号の図書館の書棚には経済の本は一冊もないと明記されている。ヴェルヌは深海探索、宇宙旅行を予言しているが、巨額の費用もわかっていた、ということであろうか。