読書尚友

A reading room in Nagoya

136 古今和歌集 

古今集というと、正岡子規の批判が有名である。

正岡子規は「古今集」が読めていない。

古今集はそのシステム、総体的作品世界を読み解いてこそ理解できる歌集である。和歌は季節ごとに配列されており、同じ季節の中であっても前の和歌と後の和歌の対比が絶妙。月は中天の月から山の端の月へ。雁も近景の和歌と遠景の和歌の配置を楽しまねば。恋の歌も進展の妙味あり。その起点、正月の一首を正岡君は批判しているが、選者の心得は、まずは ちょっとヘタに詠んでみせ みんなを世界に率いれる でいいのでは? ここから美の世界が始まります、お気軽にお入りください、と読まねば。

たとえば 月と雁 二首

秋歌

119 題しらず    詠み人しらず

白雲にはねうちかはしとぶ雁の数さへみゆる秋の夜の月

120

さ夜中と夜はふけぬらし雁がねの聞ゆる空に月渡るみゆ