佐藤春夫の昭和13年の解説 「永井荷風が愛好し尊重した詩人は、ボードレエル ヴェルレエン アンリイ・ド・レニエ Regnier, Henri de の3人であるという。荷風の後期作品の詩趣はレニエに通底」
永井荷風の作品は好きでよく読んだが、良いと感じていたのは 全体の流れや構造 思想ではなく 数ページだけの詩情の世界 感情の純白さ であった。それが何であるか 気づかずにきたが、今はじめて「珊瑚集」を手に取りレニエの詩をよむと これだ との感あり。
世に永井荷風の解説多し。私にとっては すべて誤解の元であった。永井荷風の世界はレニエの詩趣からアプローチすべきである。
正午の詩の最終行 女性の裸体の見方 世界観的位置づけ 温雅でしとやか。このあたりが荷風の詩趣と私はみるが、痴情の世界に身を置いているような誤解を本人が否定しなかったのは それで本が売れ 豊かな収入となったから と考える。