私が選んだ十句
(1)杉高く秋の夕日の茶店かな
明治の散策、旅は高雅。今の旅は外国人で混雑、くどいスウィーツの屋台がぎっしり並んで。
(3)日あたりのよき部屋一つ冬籠 明治32年
子規というと病苦の深刻な句が高名であるが たおやかな吟詠もあり。
(4)漱石が来て虚子が来て大三十日
この句集 虚子の編集であるが解説文が一切ない。句だけ。気高く緊迫した人間関係。
(5) 漱石来るべき約あり
梅活けて君待つ菴の大三十日 明治28年
並でない交友関係が伝わってくる。
(6)秋風の一日何を釣る人ぞ 明治25年
釣り人を見る子規の澄んだ境涯が良い。
(7)古寺に灯のともりたる紅葉かな 明治26年
(8)庭十歩秋風吹かぬ隅もなし 明治29年
(9)三月を此能故に冴え返る 明治27年
感受性に感嘆。能を聴きながら眠ってしまう私とは違う。
(0)行く秋や我に神無し仏無し
気になる句。わからない句というべきか。神、仏とともにあるから(7)(8)(9)の句境にあったのでは?