読書尚友

A reading room in Nagoya

2021-01-01から1年間の記事一覧

61 法華経

田村芳朗・藤井教公 著「法華経」大蔵出版1988年 提婆達多品第十二 龍女成仏 薬王菩薩本事品第二十三 焼身供養 老人の今、かなり期待して読み始めた。小学校のころ家が大田区久が原で、法華経を所依とする日蓮宗の本門寺が近くにあり、祭りの晩には遠く 太鼓…

62 維摩経

植木雅俊訳「維摩経」岩波書店 2011年 「維摩経」楽しく読めました。 第6章 天女 菩薩のお話に喜んだ天女が天上の花をふりまく。 読んでいて、東大寺の行事での紙吹雪想起。老僧の白い紙片をふりまく姿、奇異に感じておりました。原像発見。仏教の説話、超…

63 竹村牧男「日本仏教のあゆみ」

竹村牧男「日本仏教のあゆみ」NHK出版 2015年 「般若心経」の次。ここ数年で「法華経」「維摩経」を読みました。 NHKの竹村という方の放送番組6回分を三回ほど見返し。それから法華経とか読むことに。今日は維摩経について書いてみよう、と思いついたのです…

64 般若心経

「清 傳山 小楷精選」天津人民美術出版 社2015年 書道の本 現代の書家を比較しておりました。上掲の書 好きです。中国人の書家作品、般若心経、一字一句日本と同一。日本での読経は中国での読経と同一の音声。本式、ではありますが、難解至極。パーリ語→サン…

65 角井 博 監修「中国書道史」

李叔同「楷書軸」日本留学帰国後仏門に帰依 角井博監修「中国書道史」芸術新聞社 2009年 殷末周初 鼎 後漢 曹全碑 漢隷の双璧 王義之 「十七帖」 東晋 張玄墓誌 南北朝 顔真卿 「顔氏家廟碑」 780年 隋・唐・五代 朱熹「編集文字帖」 1172年頃 祝允明「草書…

66 石飛博光他「禅の心を書く」

石飛博光 江口大象 岡田契雪 田中節山 吉川蕪仙「禅の心を書く」可成屋 発行年未記載 仙厓 「無事」 仙厓義梵 せんがい・ぎぼん 1750-1837 無事是貴人 平常無事など臨済禅の言葉 日々是好日 良寛 「天上大風」 大愚良寛 だいぐ・りょうかん 1758-1831 天上大…

67 山頭火句集

大山澄太 編「定本 種田山頭火句集」彌生書房 昭和46年 「フジ三太郎」でサラリーマンの心象風景に同感したつもりになりましたが、そうなのでしょうか? 私の友人でサラリーマンであった人は、山頭火好き らしい。 私は朝 狭いアパートの玄関で靴をはくとき …

68 サトウサンペイ「フジ三太郎」

朝日新聞社 1982年 選挙 「フジ三太郎」 仕事に追われ忙しかったころの昭和40年の朝日新聞掲載。おもしろかったと記憶。今見ると、それほどでもない。微妙な笑い。時勢、その日の記事の解毒剤。1コマ目 身近な男女平等が目新しかった。2コマ目 日本の日常…

69 「女子会川柳」

「女子会川柳」ポプラ社 2013年 日曜日 布団干したい でも寝たい 腐っても 使えなくても 正社員 (1) じじくさい 思った相手が 同い年 気がつけば 癒し系から 威圧系 5時までは 体の調子 いまひとつ 病欠の 電話済んだら 元気が出 ストレスは 仕事じゃな…

70 長谷川町子「いじわるばあさん」

朝日新聞社 1995 今月31日は総選挙。 昨日「趙州録」224段を読んでいたら、覿面てきめん、という懐かしい言葉に再会。 質問に答えたり大写しになると、わかりますネ。長谷川町子の政治家の見方、ユーモラス。覿面のだいご味あり。 長谷川町子の「いじわる…

71 ビアス「悪魔の辞典」西川正身 編訳

ビアス Ambrose Bierce 1842-1914「悪魔の辞典」岩波書店 1997年 日中関係・日露関係への視点 愛国者 : 政治家に手もなくだまされるお人好し。征服者のお先棒をかつぐ人。 愛国心 : 無頼漢の最後の拠り所。 母は同世代の特攻隊員を「不良ダガネ」と品定め。…

72 「三島由紀夫レター教室」

三島由紀夫「三島由紀夫レター教室」筑摩書房 1991年 初出「女性自身」1966年9月26日ー1967年5月15日 女性週刊誌というのは読んだことがないのですが、ずいぶん有力なマス・メディア。 今月、皇室では御成婚。他のメディアと異質の報道姿勢があるように思わ…

73 フルトヴェングラー「音と言葉」

W.Furtwaengler Ton und Wort フルトヴェングラー「音と言葉」芳賀 檀 訳 新潮社 ブライスさん 最終回 バッハ まずフルトヴェングラーとは 神話的名指揮者 1886-1954 ブライスさん 鈴木大拙 と共通点 科学主義批判 ブライスさんとは音楽的に同時代の人。百花…

74 C.S.ルイス  スクルーテープの手紙

C.S.Lews 1898-1963 ブライスさんが良心的兵役拒否で収監されたのはワームウッド刑務所。 ワームウッド刑務所玄関 ワームウッドという名の主人公が活躍する小説があります。C.S.ルイス「スクルーテープの手紙」山形和美編集「C.S.ルイス著作集 1」では「悪…

75 R.H.ブライス 「禅と英文学」

「禅と英文学」第13章 PARADOX ブライスさん 主著「禅と英文学」 R.H.Bryth Zen in English literature and Oriental Classics 1942 THE HOKUSEIDOU PRESS ブライスさんが大事にしていたのは Poetry in every-day life 日々の詩情。具体的には 3B。Bach バッ…

76 R.H.ブライス EASY POEMS 家庭教師時代のテキスト

R.H.BLYTH EASY POEMS 1959 THE HOKUSEIDOU PRESS ブライス 「やさしい英詩」 北星堂書店 「詩の朗読を聞けば、天国に行ける人かどうかわかる」 東京教育大学での講義で ブライス どんな英詩の授業だったのでしょうか? テキストから考えてみましょう。 目次…

77 R.H.ブライス 「ほんとうの日本」

R.H.ブライス「ほんとうの日本」大江舜訳 武田雄二編集 展望社 2021年 ここ数日、ものの見方、考え方・ 観想/テオリア の諸相。 今日は東西文化の比較の視座、ブライスさんの本を見てみましょう。 今日 9月28日発行。出来たて。ていねいな編集、翻訳。 Re…

78 謡曲「江口」

観世左近「観世流百番集」檜書店 平成12年 「江口」ラストシーン 江口の君は普賢菩薩となり・・ このところ、観想/テオーリア、ものの見方考え方の諸説を考察。 アリストテレス 純粋高踏 近寄り難し。 マルクス 無敵の論客 素晴らしすぎ。20世紀の流血の争乱…

79 易経

大川恒平「筮竹占いの秘密」二見書房 昭和52年 沢火革 高田真治・後藤基巳訳「易経」岩波文庫 沢火革 このところ 観想/テオリアの在り方をみています。 マルクスのものの見方は論争力抜群。20世紀を風靡。しかし、易経の見方からすると、なんでも変革、革…

80 「アダム・スミスの味」

アダム・スミスの会 東京大学出版会 1965 目次 大学進学。文学部に行きたかったが親の難色で経済学部へ。ずいぶんがっかりしての失意の進学であったが、それでも18歳、学問の世界は未知の領域であり、本当の勉強を独学でしようと決めた。1年生のころは一切…

81 リカード「経済学および課税の原理」

リカードウ全集 雄松堂書店 1971-1999 私は経済学部出身、大学院と博士号は文学ですが、経済学を学びました。 I am a リカーディアン。そう言って、うなずいてくれたのはエジンバラのブロートンさんだけですが・・。 リカードの素晴らしいのは (1)大富豪…

82 マルクス「経済学批判」

「経済学批判」武田隆夫他訳 岩波文庫 序言 「人類の前史は終わる」 現在の資本主義社会が終わり、まったく新しい社会になってゆく。そこで人々は、能力に応じて働き、必要に応じて消費できる。 理想を語るマルクス。1859年の出版。160年前の言葉。 「哲学者…

83 マルクス「資本論」

「資本論」向坂逸郎訳 第1巻第7篇第24章 カール・マルクス「資本論 ー経済学批判ー」 我々の住む社会はどんな社会であるかを論じた著作。「我々の社会は資本によって支配されている」ということで資本論と名づけられている。 冒頭は商品論。今の社会ではあ…

84 アリストテレス「ニコマコス倫理学」

アリストテレス全集13 ニコマコス倫理学 加藤信朗訳 1973 アリストテレスによれば、最高善は幸福であり、幸福とは善い人として美しい行為のできることである。 幸福は如何にしてえられるか? 目次 ニコちゃん、何事も過不足なくダヨ。良い習慣が大事サ。善…

85 モンテーニュ「エセー」

岩波文庫 原 二郎 訳 1966年 モンテーニュの「エセー」。とりとめもなく読み続ける快感は西洋の賢者の談話に同席する臨場感。今読み返しても、まづまちがいのないことが語られている。(a) が最初の記述で (c) は3度目の加筆である。「最高善は何か」トルス…

86 田辺聖子 「とはずがたり」

新潮社 平成25年 「田辺聖子の古典まんだら」古事記から古川柳まで、テンポよく要領よく いきいき解説。読者のもち時間を配慮、盛り上がる構成。 「源氏物語」の章はない。モンテーニュ「エセー」にキリスト教の議論がないが如く。逆に群書にない「とはずが…

87 田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」

田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」短編集 KADAKAWA 昭和62年 しばらく童話について書いてみよう。グリム童話、ピノキオ、ムーミン とか。 第一候補「大理石の心臓」。ある日男の家に悪魔が訪ねてきた。「お前の生き生きした心臓をこの大理石の心臓と取り換える…

88 イソップ寓話集

中務哲郎訳 岩波文庫 人生 何回か サワーグレープスの感慨あり。手の届かない葡萄。すっぱいからいらない、と言い捨てて立ち去る。大学時代銭湯の一番風呂で一緒になっていたH君 温泉友達 が「外交官試験をめざして一緒に勉強しよう」と提案してきた。しばら…

89 アンデルセン「マッチ売りの少女」

岩波書店 昭和28年 ¥190 「アンデルセン童話選」岩波少年文庫 大畑末吉訳 冬の北欧でマッチ売りをしていると足が赤く青くなるという記述。ノーベル賞の大富豪ノーベル、幼いころは極貧の時期もありマッチ売りをしていたという。実際のマッチ売りの少年少女…

90 柳田邦男「人生の一冊の絵本」

新見南吉「でんでんむしのかなしみ」 かみやしん 絵 柳田邦男「人生の一冊の絵本」岩波新書 2020年 NHKの早朝のラジオ番組で柳田氏が絵本についていい感じで話してみえた。ルポルタージュ本のライターと思っておりましたが・・。早速ネット紀伊国屋に注文。…